
医療脱毛を受けた後に「まばらに毛が生えてくる」状態が続くことは、施術の過程においてよく見られる現象です。
完全に毛が生えなくなるまでには複数回の施術が必要となるため、途中の段階では部分的に毛が残ることがあります。
本記事では、医療脱毛の仕組み、まばらに毛が生える理由、正常な経過と異常の見分け方、適切な対処法について詳しく解説します。
1. 医療脱毛の仕組み
医療脱毛では、高出力のレーザーを使用し、毛根に存在するメラニン(黒色の色素)にエネルギーを吸収させ、熱によって毛根を破壊します。
このプロセスによって、毛の再生を抑制し、最終的に毛が生えない状態を目指します。
毛の成長には「毛周期」というサイクルがあり、大きく分けて以下の3つの段階があります。
毛周期の段階 | 特徴 | レーザー脱毛の効果 |
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成長期 | 毛がしっかりと毛根につながっている状態。この時期の毛にレーザーを照射することで、毛根にあるメラニンに反応し、高い脱毛効果を得ることができる。毛母細胞が活発に分裂し、毛が太くしっかりと成長している。 | 最も高い効果が得られる。レーザーが毛根に十分に届き、熱破壊によって毛の再生を防ぐ。 |
退行期 | 毛が抜ける準備をしている状態。毛根と毛が徐々に分離し始め、毛の成長が止まる。毛乳頭から毛が離れ始めるため、レーザーの熱が毛根に伝わりにくくなる。 | 効果は限定的。レーザーの熱が毛根に十分に伝わらないため、脱毛効果が低くなる。 |
休止期 | 毛が抜け落ちた後の休眠状態。毛穴の中にはまだ新しい毛が成長を始めていないため、レーザーを照射しても毛根自体が存在しない。次の成長期を迎えるまで毛は生えてこない。 | ほとんど効果がない。毛根がない状態ではレーザーのターゲットとなるメラニンも存在しないため、照射しても脱毛効果は得られない。 |
医療脱毛では成長期の毛に対してレーザーを照射することで効果を発揮します。しかし、一度の施術ではすべての毛が成長期にあるわけではないため、回数を重ねて照射する必要があります。
2. 「まばらに毛が生えてくる」理由
施術を受けた後にまばらに毛が生えてくるのは、いくつかの要因が考えられます。
原因 | 説明 |
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① 毛周期による影響 | 毛周期の関係で、レーザーが効果的に作用するのは成長期の毛のみです。そのため、一度の施術で全ての毛を除去できるわけではなく、施術後もまだ成長期を迎えていない毛が新たに生えてきます。このため、医療脱毛では複数回の施術が必要になります。 |
② 毛の生え方に個人差がある | 毛の密度や毛質、ホルモンバランスの影響により、脱毛の進行には個人差があります。もともと毛が薄い人は少ない回数で効果を感じやすいですが、濃い毛が多い人は、より多くの回数を必要とする場合があります。 |
③ 施術の照射漏れ | 経験豊富な施術者でも、広範囲の施術では完全に均等にレーザーを当てるのが難しい場合があります。特に、体のカーブが多い部位(脇や膝など)や産毛が多い部位では、レーザーの当たり方にムラが出ることがあり、一部の毛が十分に破壊されずに残ることがあります。 |
④ 照射出力の違い | レーザーの出力は、肌質や毛質に応じて調整されます。特に、初回は肌の様子を見ながら低めの出力で施術することが多いため、効果が十分に発揮されないことがあります。2回目以降に出力を調整することで、より高い効果を得ることが可能です。 |
⑤ ホルモンの影響 | ホルモンバランスによって毛の成長が左右されることもあります。特に、女性の場合は妊娠・出産・更年期などのホルモン変化によって、新たに毛が生えてくることがあります。また、ストレスや体調の変化によっても毛の生え方に影響が出ることがあります。 |
3. 正常な経過と異常の見分け方
状態 | 特徴 |
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正常な場合 | - 施術後2~3週間ほどで毛が抜ける
- 施術後に新しい毛がまばらに生えてくるが、回数を重ねるごとに減っていく
- 一定回数施術を受けることで、毛が生えてくる範囲が狭くなる
- 医療脱毛では5~8回程度の施術を受けることで、多くの人が毛がほとんど生えてこない状態を実感できる
- 施術の回数が少ないうちは、まだ生えてくる毛があるのは正常
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異常な場合 | - 施術後1ヶ月以上経っても抜けずに毛が残っている
- 施術を複数回受けても毛の減りが感じられない
- 特定の部分だけ毛が濃くなったように感じる
- 強い炎症や色素沈着、火傷のような症状が出ている
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もし施術を数回受けた後でも毛が減らない場合や、毛が逆に増えたように感じる場合は、クリニックに相談することをおすすめします。
また、肌トラブルが発生している場合も、すぐに医師の診察を受けましょう。
4. まばらに毛が生え続ける場合の対処法
対処法 | 説明 |
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① 施術回数を増やす | 医療脱毛の効果は施術回数に依存するため、最低でも5~6回は受けることを推奨します。特に毛が濃い部位(VIO・ワキなど)は回数が必要です。 |
② 照射漏れの確認 | 施術後に特定の部分だけ毛が残る場合は、照射漏れの可能性があります。クリニックによっては無料で再照射を行っている場合もあるため、相談してみましょう。 |
③ 肌の状態を整える | 乾燥した肌やダメージを受けた肌では、レーザーの効果が十分に発揮されないことがあります。施術前後はしっかり保湿を行い、紫外線対策も忘れずに行いましょう。 |
④ 生活習慣の見直し | ホルモンバランスの乱れによって毛が生える場合があるため、ストレス管理や食生活の改善を心がけることも重要です。 |
まとめ
医療脱毛を受けた後に「まばらに毛が生えてくる」状態が続くのは、毛周期の関係や個人差、照射出力などの要因によるものであり、一般的に正常な現象です。
しかし、施術回数を重ねることで徐々に毛が減っていくため、適切な施術回数を受けることが重要です。 もし施術後の経過が思わしくない場合や、異常な症状が現れた場合は、早めにクリニックに相談し、適切な対応をとるようにしましょう。